やまがたフルーツPR隊「YFP150」vol.6(前編)刈屋梨
山形県は、年間を通じて様々なフルーツが楽しめる「フルーツ王国」。そんな県内各地の美味しいフルーツや周辺観光スポットを、山形県内の学生たちによる「やまがたフルーツPR隊『YFP150』」(わいえふぴー いちごーまる)が取材し、その魅力を前編・後編にわたってお届けします!
第6回は、東北公益文科大学の皆さん!前編では「刈屋梨」の魅力について、生産者の方へのインタビューを通して伝えてもらいますよ★
刈屋梨
私たちはやまがたフルーツPR隊『YFP150』の東北公益文科大学3年の今野美歩と1年の村木悠奈です!私たちは庄内地域で働くこと、生活することの魅力を発信するプロジェクト「ハタラクカタチ」に所属しており、庄内地域の企業の魅力や働いている方々の思いを若者目線で発信する活動をしています。今回は初めての農家さんへの取材で少し緊張しましたが、いろいろな話をきくことができました!

刈屋梨って?
そもそも刈屋梨とはどういう梨なのでしょうか。刈屋梨とは酒田市刈屋地区で育てられるため「刈屋梨」と呼ばれており、日本梨でも西洋梨でも、刈屋地区で育てている梨は全部刈屋梨で、品種としては他の地域と変わりません。「同じ梨なのに、味が断然違う」と言われている刈屋梨ですが、その秘密は「土壌」にあるようです。
刈屋梨は日向川(にっこうがわ)と荒瀬川(あらせがわ)という鳥海山系のふたつの清流の合流点で育ちます。昔、この河川では氾濫が多くあり、その影響で堆積した土壌はたくさんの栄養を蓄えました。栄養いっぱいの土壌は刈屋梨の成長を促します。つまり、自然に恵まれた環境だからこそ刈屋梨は美味しくなるということですね!
加えて、梨畑にはネットを張らないため、太陽をめいっぱい浴びることができ、たくさんの養分を蓄えることができます。
梨園の概要
小松久助梨園は、先祖代々続く150年の歴史がある梨園で、今回お話をきかせていただいた小松賢さんは5代目です。実は約20年前にご自身の梨園について調べたそうで、明治初期にイトウカンスケさんが梨を植えたことがきっかけでこの梨園が始まったそうです。また、小松久助梨園では梨以外にも、お米やお盆用の菊を栽培しており、小学生にお米の授業も行っているとのことでした。


梨の種類について
小松久助梨園では様々な梨が栽培されています。日本梨10種類、西洋梨8種類を栽培しており、割合としては、幸水6割、豊水2割、残りの2割でラ・フランスをはじめとする西洋梨や他の日本梨です。今回はお話の中で出た日本梨について紹介させていただきます!次の4品種はいずれも「赤梨」に分類されます。
・幸水(こうすい)
幸水は赤梨に分類されます。赤梨とはその名の通り、皮が赤みがかった梨のことです。また、熟れると皮がざらざらするのも赤梨の特徴です。しかし、幸水は赤梨ではありますが、皮が黄緑がかった褐色のような中間色なのです。果肉はやわらかく、甘さのなかにほどよい酸味があり、果汁も豊富なため、長年愛されています。
・豊水(ほうすい)
皮は黄金色です。果肉は果汁をいっぱい含んでおりジューシーです。強い甘味とやさしい酸味による濃厚な味わい、シャリシャリとした食感が楽しめます。
・あきづき
皮は黄赤褐色です。果肉はやわらかく、歯切れがよいです。幸水や豊水よりも酸味が少ないため、甘味を強く感じられます。
・南水(なんすい)
赤梨らしい黄赤褐色ですが、あまりざらついていません。果肉は果汁が多く、ジューシーです。酸味が少ないため、糖度が高く、梨の甘さを楽しめます。
詳しい出荷時期については次の写真をご覧ください。

豪雨災害について
2024年7月の豪雨災害では、酒田市内でも全壊・半壊241戸、床上・床下浸水558戸(2025年7月25日時点、山形県HPより)など、大きな被害をもたらしました。小松久助梨園の1メートル先まで浸水していましたが、なんとか被害を免れたそうです。
今年の現状
取材で伺った日(2025年9月3日)は既に当日分の梨は完売!予約でいっぱいだそうで出荷用のダンボールがたくさんありました。まだ梨の収穫が始まったばかりの時期に伺ったので数が少ないこともあり、30分で完売してしまうそうです。

感想
小松さんのご厚意で「食べていいよ!」と言ってもらえたため、梨を試食させていただきました。
いただいた梨は「幸水(こうすい)」。幸水は小松さんが生産されている梨の中で出荷が1番早い品種だそう。とてもみずみずしくて甘みが感じられました。いくつ食べてもジュースのようで飽きることなく食べることができます!

取材をしている間にも美味しい梨を求めてたくさんのお客さんがいらっしゃいました。今日の分は完売だと知ると、その場で予約していく人ばかり!刈屋梨の人気を強く感じられました。
お客さんとの話の中で小松さんは、「今年は1ヶ月ほど雨が降らない時期が続いて、実が小さくなるかと思っていたが、8月の中頃に一気に雨が降ったことで水を吸収し、まだ実が色づかないため収穫量が少ない」とおっしゃっていました。異様な気候の変化が影響しているのでしょうね。
普段は地元の方が梨を求めて訪れるそうですが、土日は県内の内陸地方から来た山形ナンバーのお客さんも多いそう。取材時には山形県東根市からいらっしゃったお客さんも!
また、梨園も見学させていただきました。普段は収穫体験を行なっている場所で、幸水、豊水、南水という3種類の梨の木がありましたが、収穫体験で採れるのは幸水だけとのこと。理由は他の品種だと収穫可能かどうかが素人には分かりにくいからだそうです。梨を長年見ている小松さんだからこそわかる違いがあるのですね!
幸水について、実際どの梨が収穫可能かを聞いたら、赤く色づいているものとおっしゃっており、私たちが見ても確かに色の違いが感じ取れました。


まとめ
10月以降も出荷される品種があるので、ぜひ美味しい秋の味覚「刈屋梨」をお楽しみください!
