やまがたフルーツPR隊「YFP150」vol.5(後編)熊野大社
山形県は、年間を通じて様々なフルーツが楽しめる「フルーツ王国」。そんな県内各地の美味しいフルーツや周辺観光スポットを、山形県内の学生たちによる「やまがたフルーツPR隊『YFP150』」(わいえふぴー いちごーまる)が取材し、その魅力を前編・後編にわたってお届けします!
第5回は、九里学園高校新聞部の皆さん!後編では「熊野大社」の魅力について、巫女体験を通して伝えてもらいますよ★
熊野大社
みなさんこんにちは!やまがたフルーツPR「YEP150」の、九里学園高等学校3年普通科 今井結夏(ゆな)、梅津望未(のぞみ)、髙山心音(ここね)です。私たちは8月23日に南陽市にある熊野大社と漆山果樹園を取材してきました。
①熊野大社について
山形県南陽市に鎮座する熊野大社は、その歴史と格式の高さから「東北の伊勢」とも称され、全国に点在する熊野神社のうち、特に由緒ある日本三熊野の一つに数えられています。
その歴史は古く、現在の社殿は天明7年(1787年)に改修されたと伝えられています。特に目を引くのは、荘厳な佇まいの拝殿です。これは県内最古の茅葺屋根建築であり、その貴重な文化的価値から県の文化財に指定されています。1200年もの時を超えて受け継がれてきた伝統的な建築美は、訪れる人々を圧倒します。
また、熊野大社は古事記に記された「国づくり」の神話に由来する縁結びの神様を祀っており、山形県内有数の縁結びの名所としても広く親しまれています。歴史と伝統に彩られたこの場所は、訪れる人々に神聖な雰囲気とともに、良縁への願いを叶える力を与えてくれます。
②縁結びについて
熊野大社は、日本で最古のプロポーズをして夫婦となったイザナキノミコトとイザナミノミコトが、縁結びの神様としてお祀りされています。
境内には、熊野大社のパワーを感じることができる場所やご祈祷が3つあります。一つ目は、「三羽のうさぎ」です。本殿裏の彫刻には、三羽のうさぎの隠し彫りがあるとされています。この三羽のうさぎを全て見つけると願いが叶うと言われていますが、三羽目を見つけるとき、人から聞いたり場所を教えてしまうとご利益がなくなってしまうそうです。ぜひ探してみてください。
二つ目は、「かなで」という祈願祭です。6月から9月には、参拝者の願いを風鈴に託す意味をこめて、境内に風鈴をつるすことができます。風という目に見えない自然の力が、風鈴を通して目や耳で感じることができるようになります。目に見えない力に思いを馳せることの大切さを体感することができます。
三つ目は、「月結び」です。月に一度、満月の夜に開催されます。朝や昼とは違った境内の雰囲気に包まれ、神聖さをより強く感じることができます。参列すると、「たまゆら守」というお守りがもらえます。
③巫女体験レポート
熊野大社での巫女体験は、白衣と緋袴という神聖な衣装に袖を通すことから始まりました。普段着ることのない装いに身が引き締まり、巫女としての心構えを整えることができました。
巫女体験の第一歩として、境内の清掃奉仕として落ち葉掃きを行いました。ただ単にゴミを取り除く作業だと思っていましたが、神社の方から深い意味を教えていただきました。神社に敷き詰められた砂利は「玉砂利」と呼ばれ、参拝者がこの上を歩くことで、身についた穢れ(けがれ)や心の汚れを洗い流すという意味があるそうです。
境内の美しさを保つことは、神様をお迎えする清らかな場を整えることであると同時に、熊野大社を訪れる人々が清々しい気持ちで参拝できるようにするためだということを知り、その神聖な役割に感銘を受けました。

神職の方による講話では、日本最古のプロポーズをしたとされる神様、イザナギノミコトとイザナミノミコトについてのお話を伺いました。古事記に記されているその内容は、私たちの想像を超える壮大なものでした。
神話によれば、この二柱の神様は、天高くそびえる「天の御柱」をそれぞれ反対方向に回り、出会った場所で「夫婦となり、国をつくろう」と誓い合いました。これが、日本における最初の愛の告白、つまりプロポーズとされています。
この二柱の神様が結ばれて、日本の国土や八百万の神々が生まれたという神話は、日本の根源的な部分を形作っています。熊野大社は、この「国づくり」をした夫婦の神様をお祀りしていることから、古くから縁結びの神様として多くの人々に信仰されてきました。
講話を通して、神話が単なる物語ではなく、私たちの文化や信仰に深く根付いていることを実感しました。
次に、お守り奉製の体験をさせていただきました。お守り奉製では、自分の願い事を書き、お守り袋の中に入れました。そのあとに二重叶結び(にじゅうかのうむすび)がされた紐を袋に通して結びました。
二重叶結びは、表から見ると口、裏から見ると十という形になり、その二つを合わせると叶という字に見えることから、願いが叶うという意味が込められているそうです。実際に自分の手で結んでみると難しく、うまくできなかったのですが、神社の方に手伝ってもらいながら完成させることができました。
自分で願いを書いて結びを体験したことで、自分たちで作ったお守りがより大切なものになり、貴重な体験になりました。そして、神社で受け取ることができるお守りの一つひとつが、本物の巫女の方が心をこめて手作業で用意していることを知りました。身近な存在であるお守りには、持つ人の幸せや安全を願う思いが込められていることに気付かされ、お守りに対する考え方が変わりました。
最後にご祈祷と正式参拝を体験しました。実際に自分たちで作ったお守りを神前に奉納し、御祈祷を受けました。自分で作ったお守りを神前にもって行くときは、出す足に決まりがあり、その都度右足から出すか左足から出すか考えながら進まなければならず、とても緊張しました。そして榊を置き、二礼二拍手一礼の作法でお祈りをしました。普段の参拝とは異なり、拝殿の中で行う参拝は、特別で、一つひとつの動作に意味があることを実感しました。それは、神様に対する敬意だけでなく、参拝される人への願いが込められていると感じることができました。
今回の取材を通して、熊野大社の歴史や目に見えない力を体感することができました。そして熊野大社での体験では、普段なかなかできないことで、少し緊張する場面もありましたが、体験することで学べることが多く、印象に残る時間になりました。

④巫女体験 感想
今井:熊野大社でのお守り奉製とご祈祷は、日常では決して味わうことのできない、とても新鮮で貴重な体験となりました。ただ見学するのではなく、自分の手でひとつひとつの作業を丁寧に行うことで、神聖な空気に触れ、その意味を体全体で感じることができました。最初は、作法や手順に戸惑い、緊張で手が震えるほどでしたが、その分、玉串奉納やご祈祷など、一つひとつの場面が心に深く刻まれ、忘れられない思い出になりました。この貴重な体験を通して、神社の伝統や人々の祈りに込める思いを肌で感じることができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。
梅津:巫女体験を通して、普段何気なく参拝している神社の裏側にある深い意味を知ることができました。特に印象的だったのは、境内の落ち葉掃きです。ただ場所をきれいに見せるためだけでなく、玉砂利の上を歩くことで参拝者の身についた「けがれ」を流すという、神聖な意味合いがあることを教えていただきました。こうした、普段の参拝では決して気づくことのない、神職の方々の心遣いや、神社の各所に込められた意味を知ることができ、神社の見方が大きく変わりました。これからは、もっと感謝の気持ちを持って参拝したいと感じています。
高山:熊野大社での巫女体験は、これまでの人生で感じたことのない、厳かで清らかな気持ちにさせてくれました。お守り作りやご祈祷を通して、神社の神聖な雰囲気に触れることができ、その歴史や人々の祈りの重みを感じました。3人それぞれが、この体験を通してかけがえのない思い出を作ることができ、本当に嬉しく思います。今回の体験で、私たちは熊野大社の方々の温かさや、神様に真摯に向き合う気持ちを知ることができました。この素晴らしい体験を、より多くの人に知ってほしいと心から願っています。ぜひ熊野大社を訪れて、日本の歴史や文化、そして人々の温かい心を身近に感じてほしいです。
⑤まとめ
熊野大社を訪れて、心に深く刻まれたのは「明き清き直き心」という古くからの教えでした。これは、ただの言葉ではなく、熊野大社の方々が大切にし、日々の暮らしの中で実践されている生き方です。
1200年の歴史を刻む熊野大社は、その荘厳な佇まいとともに、この尊い教えを静かに伝えています。境内に足を踏み入れると、どこか懐かしく、そして清々しい空気に包まれ、心も体もリフレッシュされるのを感じます。熊野大社は、単なる観光地ではありません。歴史と伝統が息づく場所で、ありのままの自分と向き合い、「明き清き直き心」を再認識するための大切な場所です。ぜひ一度足を運び、その特別な空気を体験してみてください。

※今回取材した「熊野大社」に関する情報は、以下の「詳細を見る」をご参照ください。