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やまがたフルーツPR隊「YFP150」vol.8(前編)庄内柿

山形県は、年間を通じて様々なフルーツが楽しめる「フルーツ王国」。そんな県内各地の美味しいフルーツや周辺観光スポットを、山形県内の学生たちによる「やまがたフルーツPR隊『YFP150』」(わいえふぴー いちごーまる)が取材し、その魅力を前編・後編にわたってお届けします!

第8回は、羽黒高校の皆さん!前編では「庄内柿」の魅力について、生産者の方へのインタビューと庄内柿収穫体験を通して伝えてもらいますよ★

庄内柿

みなさんこんにちは!やまがたフルーツPR隊「YFP150」の、羽黒高等学校普通科特進コース3年の佐藤心音です。私は、2025年10月18日に、鶴岡市の櫛引地域で、「くろかわ農人(のうと)」として活躍していらっしゃる、農家の蛸井徹(たこい とおる)さんに取材をさせていただきました。この日は、蛸井さんの柿畑でお話を伺いました。

 


・鶴岡市櫛引地域について

現在の鶴岡市櫛引地域は、かつての東田川郡山添村、黒川村が合併して櫛引村となったのち、櫛引町を経て、鶴岡市と合併しました。櫛引ではさくらんぼやもも、和梨、西洋梨、ぶどう、庄内柿、りんごなど一年を通してさまざまな果物が育てられていることから、「フルーツの里」としても知られています。また、櫛引の黒川地区では「黒川能」と呼ばれる民俗芸能が500年以上前から大切に守り継がれてきました。国指定の重要無形民俗文化財に指定されており、年4回、能の舞台が開かれています。

今回取材させていただいたフルーツは、まさに今が旬の秋の味覚、庄内柿。平たくて種が無く、甘みが強いのが特徴です。そのうち、蛸井さんが育てているのは「刀根早生(とねわせ)」と「平核無(ひらたねなし)」という2つの品種です。刀根早生は9月下旬頃の比較的早い時期から収穫できる品種なのに対し、平核無は10月下旬頃から収穫できる品種なのだそうです。今回蛸井さんの柿畑にお邪魔させていただいた時はまだ10月中旬頃だったため、刀根早生は鮮やかなオレンジ色に色付いていたのに対し、平核無はまだ緑っぽい色をしていました。平核無は明治時代に初めて庄内に柿が伝わったときの品種で、蛸井さんのお宅でもその当時から代々、柿作りが受け継がれてきたのだそうです。およそ2ヘクタール、計350本の木から採れるたくさんの柿は干し柿に加工されるか、加工せずにそのままの状態で売られるそうです。

こちらが刀根早生です。

 

 

平核無はもう少しあとの時期に熟してくるようです。

 


・年間スケジュール

春、夏(5月末〜9月)…消毒を7回、柿の下草刈り

 虫予防や落葉病という病気の予防のために約20日ごとに消毒をします。年間を通して計10回消毒するそうです。特に夏場は、朝の4時半に起床し、別に育てているお米の田んぼの水位調整もするそうです。

秋(9月後半~)…肥料まき、刀根早生、平核無の収穫

 柿の収穫時期の前には、次年度のための肥料をまいておきます。

冬(12月〜3月)…枝の剪定

 凍える寒さの中、一本ずつ手作業で行っているそうです…!

この他、蛸井さん農家では柿に加え、丁度時期がずれる頃にお米も育てているため

一年を通して忙しくなるそうです。

 


・農家として一番大変だったこと、やりがい

これまで50年以上もの間、農家を続けてこられた蛸井さん。その中で一番大変だったことは?とお聞きしたところ、平成初期に起こった、冷夏による米の不作とのことでした。収入が少なく、生活が苦しくなり、とても大変だったそうです。

やりがいは何ですか?とお聞きすると、育てた作物を食べた時に美味しくできたと感じるときだそうです。柿の渋みを取るためにアルコールにさらしたあと、柿が甘く仕上がったときはとても嬉しくなるのだそう。今年の出来栄えをお聞きすると、7月と8月が日照りの日が多く、水分不足だったため、その影響を受けて小ぶりの柿が多くなったそうです。ここまで雨が降らない年はあまりなく心配したが、それでも味は良く美味しくできたとおっしゃっていました。

また、実は蛸井さん、33歳から黒川能の役者も続けているそうです。毎年4回、能の舞台で太鼓を叩く「大鼓方(おおつづみかた)」として出演なさっています。黒川能は現在、後継者不足にもなっている中、蛸井さんの息子である蛸井志門さんも農業をしながら能役者として活躍しており、黒川能を継承させていこうと奮闘しています。


・柿収穫体験

取材中、刀根早生を1つ収穫させていただきました。手首をひねって枝から柿を採り、果物バサミで「ほぞ」と呼ばれる部分を切り落としました。思っていたより簡単に枝から柿を採ることができたのですが、ほぞを切る際にヘタとギリギリの部分で切る必要があり、ほぞも固かったため少し大変でした。

 

 

・試食

櫛引地域のお店で購入した刀根早生を、実際に剥いて食べてみました。実は私は柿を自分で剥いて食べたことがありません。今回初挑戦です。

実自体は硬すぎず皮も思っていたより剥きやすかったです。鮮やかな柿色の皮を剥いていくと薄いオレンジ色をした果肉が姿を現します。丁度食べ頃だったようで、咀嚼すると口いっぱいに自然な甘みが広がりました。シャクシャクという食感も楽しく、いくらでも食べることが出来そうなくらいでした!

 


・感想

蛸井さんが収穫している姿も見させていただいたのですが、手際よくどんどん収穫なさっていたため驚きました。

そして、今回の取材で何より驚いたのは蛸井さんのパワフルさです。今の時期は毎日早朝に起床し、ほとんど一日中、柿を収穫なさっているそうです。その数はなんと一日約1,000個!70歳を超えていらっしゃるとは思えないほど元気に農家をお続けになっており、「死ぬまで現役だ」と笑顔でおっしゃるその姿はとても輝いて見えました。

蛸井さんのような頼もしい農家の皆さんがいるから私たちの食が支えられていることを実感し、改めてありがたく思いました。    

農家の方によって大事に手間ひまをかけて育てられた柿。甘みが強く、みずみずしくてとても美味しいです。皆さんもぜひ食べてみてください!

蛸井さん、ありがとうございました!



 


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