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【2025年版】おきたま雛回廊

山形県南部に位置する置賜地方の1月は厳しい冬真っ最中。昨年の雪不足が嘘のように、数年に一度と言われる大寒波がきています。


そんな雪深くあたり一面が白銀の世界に囲まれた置賜に春を運んでくれるのが「おひな様」。かわいらしいひな人形たちが置賜地域の各地に舞い降ります。


実は置賜地域は、江戸時代から伝わる美しいおひな様たちが数多く残されている地域でもあります。この地域では、米沢藩士が江戸から持ち帰ったひな人形が家族の手に渡り、代々受け継がれてきました。


その雅やかな文化を堪能できるスポットが点在しており、それぞれが異なる魅力を持っていますよ。


歴史と伝統が息づく置賜の雛文化を巡る旅に出かけてみませんか?

豪華絢爛な雛人形と米沢牛を楽しむ、上杉伯爵邸の春

山形県米沢市にある「上杉伯爵邸」は、明治29年に建築された歴史的建造物で、現在は登録有形文化財に指定されています。


この格式高い邸宅で毎年開催される雛人形の展示では、上杉家の歴史や文化を深く感じることができます。特に注目してご覧いただきたいのは、他の展示とは異なる「上杉家ゆかりの雛人形」。



これらの人形は江戸時代から昭和初期にかけて作られたもので、その中には武家文化の影響を受けた特徴的な装飾や配色が施されたものも。


展示スペースは、邸内の美しい和風建築を活かし、自然光が差し込む優雅な雰囲気の中でひな人形を鑑賞できます。


また、雛人形だけでなく、邸内に広がる日本庭園や米沢牛を使った食事を楽しめるレストランも魅力のひとつ。庭園を眺めながら味わう郷土料理は、歴史的な雰囲気と美食を同時に堪能できる贅沢なひとときを過ごせるでしょう。


さらに、「上杉伯爵邸」の展示は撮影もOK。女の子たちのハレの日の素敵な思い出に一緒にお写真を撮るのも素敵ですね。


歴史、文化、食を一度に楽しめる「上杉伯爵邸」は、家族連れやカップルはもちろん、歴史好きの方にもおすすめです。


寒い冬から柔らかな日差しの春へと移り変わるこの季節に出かけてみてはいかがでしょう。


開催期間:2025年2月上旬~4月上旬

開催時間:10:00~17:00(水曜定休)

開催場所:上杉伯爵邸(上杉記念館)

入館料:無料

住所:山形県米沢市丸の内1-3-60

アクセス:JR山形新幹線 米沢駅から車で8分

問合せ先:上杉伯爵邸(上杉記念館)

TEL:0238-21-5121

公式サイトはこちら

歴史薫る米沢の酒蔵で出会う、雅な享保雛の世界

山形県米沢市の「東光の酒蔵」は、420年以上の歴史を誇る小嶋家が営む伝統的な酒蔵です。


この酒蔵では、毎年2月から4月にかけて、江戸時代中期から後期にかけて作られた「享保雛」や「古今雛」の展示が行われています。


これらの雛人形は、大正8年(1919年)の米沢大火の際にも土蔵の中で無事に守られ、現在まで大切に保管されてきた貴重な文化財です。


展示は、趣のある座敷二間にわたって行われ、内裏雛や五人囃子など、28体の人形が華やかに飾られています。

その優美で気品ある顔立ちは、訪れる人々の心を和ませ、時代を超えた「美」を伝えています。

館内撮影もOK。美しいひな人形と思い出を作りましょう。


さらに、東光の酒蔵では、地元の銘酒「東光」の試飲や購入も楽しめます。

酒造りの歴史を感じながら、米沢の風土が育んだ日本酒の味わいを堪能できるのは、酒蔵ならではの醍醐味。


歴史と文化が息づく米沢の地で、雅な雛人形と伝統の日本酒を楽しめる「東光の酒蔵」で、春の訪れを感じてみてください。


開催期間:2025年2月3日(月)~4月3日(木)

開催時間:9:00~16:30(最終入館は16:00まで)

定休日:火曜日(2・3月のみ)

開催場所:東光の酒蔵

入館料:一般350円、中・高校生250円、小学生150円(団体料金あり)

住所:山形県米沢市大町2-3-22(柳町上通り)

アクセス:JR山形新幹線 米沢駅から市街地循環バスで約5分

駐車場:大型バス5台・乗用車30台

問合せ先:東光の酒蔵

TEL:0238-21-6601

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Column

享保雛と古今雛に見る日本の美意識の変遷

享保雛は江戸時代中期に誕生した細身で優雅な姿が特徴のひな人形。当時の美意識を色濃く反映しています。

一方、古今雛は明治以降に人気となったふっくらとした愛らしいデザインが魅力。現代の雛人形の原型ともいえます。

この二つの雛人形は、日本の文化と美意識の移り変わりを伝える貴重な存在です。

享保雛と古今雛に見る日本の美意識の変遷

長井市「山口家」の雛人形展で、江戸の美と歴史を堪能

山形県長井市にある「山口家」。個人宅で開催される雛人形展が人気を集めています。


山口さんが趣味で集めた雛人形が、どんどんと数を増し、今や200体以上も並び、訪れる人々を驚かせます。展示の目玉は、国内でも数体しか現存しない江戸時代の名工・2代目原舟月(はらしゅうげつ)による古今雛や、繊細な装飾が魅力の享保雛。


また、東北地方では珍しい「這子(ほうこ)」も展示され、雛祭りの歴史と子どもへの祈りを感じられる特別なひとときが楽しめます。


さらに、会場では昔懐かしい瀬戸物の展示即売も同時開催。雛人形を鑑賞するだけでなく、旅の記念に素敵なお土産も手に入れることができます。入館料は無料なので、気軽に立ち寄れるのも嬉しいポイントです。


この機会に長井市の「山口家」で、美しい雛人形の世界を堪能してみてはいかがでしょう。

※撮影は禁止ですので、ご了承ください。


開催期間:2025年3月1日(土)~3月31日(月)

開催時間:9:30~16:00

入館料:無料

住所:山形県長井市舟場25-34(山口製作所隣り)

アクセス:山形鉄道フラワー長井線 あやめ公園駅より車で約5分

駐車場:あり

問合せ先:山口さん(個人宅)

TEL:0238-84-2830

Column

子供の成長を願う這子(ほうこ)

這子(ほうこ)は平安時代から伝わる人形。

「はいはい人形」とも呼ばれます。

乳幼児の健やかな成長や厄除けを願い、枕元に置かれました。

布製で柔らかな手触りが特徴で、現代のぬいぐるみに似た役割も果たしていたよう。

子供の健やかな成長を祈る日本の伝統文化が感じられる人形です。

子供の成長を願う這子(ほうこ)

歴史と文化が融合する結城豊太郎記念館のひなまつり

結城豊太郎は、明治10年(1877)に赤湯村(現南陽市赤湯)に生まれました。東京帝国大学を卒業した結城は、念願かなって日本銀行に入行し40代の若さで日銀理事にまで昇進、その後は日本興業銀行総裁や日本商工会議所会頭など要職を歴任し、日本商工倶楽部や商工中金の創設にも尽力しました。昭和恐慌により打撃を受けた市場の回復に努めた手腕は高く評価され、大蔵大臣、第15代日本銀行総裁に就任して日本経済のかじ取り役を果たしました。


現在、結城豊太郎生誕の地には結城豊太郎記念館が整備され、生い立ちから経済界における活躍、ふるさと南陽の発展のために行った数々の功績を、ゆかりの品々とともに紹介しています。


毎年恒例の「ふるさとの節句」では、市内各家庭で大切に伝えられてきたおひな様や五月人形など、さまざまな節句人形が展示されます。


また、市内在住の作家が手掛けた吊るし飾りや、貝のおひなさまなど、多彩で個性的な作品が勢揃い。きらびやかな婚礼衣装も展示され、伝統文化の息吹と現代作家の創造力が織りなす華やかな展示を楽しめます。


特に注目すべきは、木村家から寄贈された豪華な七段飾りのひな人形。「桃太郎」や「浦島太郎」、古典を題材にした「在原業平と小野小町」や「高砂」など、物語性と学びを込めた精巧な細工は目を見張ります。また、「菅野家」「高橋家」のひな人形は地域産業の歴史に関わる貴重な史料でもあり、見どころ満載の展示になっています。


期間中には記念撮影コーナーも設けられ、節句の気分を味わえる檜扇や笏、南陽兜などの小物を無料の貸出も。


今年はあらたに、やまがたフルーツ150周年を記念したサクラン帽子も加わったとか!素敵な思い出を写真に収めるのも楽しいですね。

※館内での撮影は基本的に禁止されていますが、一部の撮影可能エリアでの撮影が許可されています。撮影エリアではルールを守り、ご協力をお願いいたします。


開催期間:2025年2月1日(土)~5月6日(火祝)

開催時間:9:00~16:30(最終入館は16:00まで)

定休日:月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日)

開催場所:結城豊太郎記念館

入館料:無料

住所:山形県南陽市赤湯362

アクセス:JR山形新幹線・赤湯駅から車で5分、徒歩20分

駐車場:あり

問合せ先:結城豊太郎記念館

TEL:0238-43-6802

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春を告げる「夕鶴のひな飾り展」で伝統と物語に触れる

山形県南陽市にある「夕鶴の里資料館」は、地域の歴史や文化を親しみやすく学べるスポットです。


館内では、南陽市漆山地区に伝わる民話「鶴の恩返し」に関連する資料や語られていた時代を彷彿させる民俗資料の展示を見られます。現在も漆山地区には「鶴巻田」や「羽付」といった伝説にちなんだ地名が多く残り、物語の舞台を想像させる情景が広がっています。


近隣の「鶴布山珍蔵寺」は、新緑や紅葉の景観も素晴らしく、また伝説が描かれた梵鐘も見ることができて、おすすめです。


館内では、語り部が地元の方言「置賜弁」を用いながら伝える民話も人気です。独特の響きが、まるで物語の中にいるかのような臨場感を生み出します。ぜひご家族で耳を傾けてみてください。


そんな伝説の地で開催される「夕鶴の里ひな飾り展」では、地元の5人の制作者が一針一針想いを込めた手作りのひな飾りが春を彩ります。時代を超えて受け継がれる「子どもの幸せを願う心」が形になった華やかな作品は必見。


ひな飾りは撮影OKですので、お子さまやお孫さまと一緒に訪れ、思い出に残る1枚を撮りましょう。

南陽市でしか体験できない、伝統と物語に触れるひとときをお楽しみください。

ぜひ観にござっとごえ。(観に来てください)


開催期間:2025年2月5日(水)~5月11日(日)

開催時間:9:00~16:30

定休日:月曜日(⽉曜⽇が休⽇の場合はその直後の平⽇休館)

開催場所:夕鶴の里資料館  3階特別展コーナー

入場料:大人330円(270円)、小中学生110円(50円)

    ※()は団体料金(15名以上)

住所:山形県南陽市漆山2025-2

アクセス:山形鉄道フラワー長井線おりはた駅から徒歩5分

駐車場:あり

問合せ先:夕鶴の里資料館

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高畠町・まほろばの里で感じる春の彩りと温もり

山形県高畠町は「まほろばの里」と呼ばれる美しい町。町内には古墳群や縄文時代の土器が発掘された洞窟など、歴史の息吹を感じられる場所が点在しています。


「まほろば」とは古語で「住みよい場所」を意味し、高畠町の肥沃な大地はその名にふさわしい風景を広げています。平地には黄金色の稲穂、山間部にはぶどうやりんご、梨などの果物が実り、自然の恵みに満ちています。


そんな高畠町の玄関口「道の駅たかはた」では、毎年1月から3月にかけて「ひな祭り」が開催されます。


館内には、地域住民から寄贈された八段飾りの立派なひな人形が展示され、昭和40年代製の美しい姿は圧巻。


また、町内の「ふれあい工房」によるつるし雛は、地元の古い着物をリメイクしたもので、どこか懐かしく温もりを感じられる作品です。


ひな人形と一緒に展示されている「犬と猫の石像」にも注目。高畠町にある「犬の宮」「猫の宮」と関係があり、村人を救った動物たちを祀る全国でも珍しい神社です。ペットの健康祈願や供養で訪れる人も多く、犬好き・猫好きの方にはおすすめのスポットです。


ひな人形、つるし雛は撮影も可能。家族や友人と一緒に思い出の一枚を撮るのも素敵ですよ。


道の駅たかはたを拠点に、高畠町をゆっくり巡る観光プランも楽しんでみてはいかがでしょう。


開催期間:2025年1月18日(土)~3月3日(月)

開催時間:9:00~17:00

定休日:無休

開催場所:道の駅たかはた

入館料:無料

住所:山形県高畠町大字安久津2072-1

アクセス:JR山形新幹線 高畠駅より車で約15分

     東北中央自動車道 米沢中央ICより車で20分

駐車場:あり

問合せ先:道の駅たかはた

TEL:0238-52-5433

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白鷹ヤナ公園『あゆ茶屋』で味わう鮎と享保雛

山形県白鷹町は「日本の紅(あか)をつくる町」として知られ、紅花の生産量で日本一を誇ります。


この地域の観光スポットの一つに、最上川沿いの道の駅「白鷹ヤナ公園」があります。ここでは、最上川の自然とともに鮎料理を堪能できます。


「鮎の塩焼き」は、白鷹ヤナ公園を訪れるなら外せない名物料理。さらに冬には、冷たい最上川の風で作られる「鮎の寒風干し」も人気です。この伝統的な保存方法で作られた鮎は、香り高く旨味が凝縮され、絶品の味わいです。


そんな白鷹ヤナ公園「あゆ茶屋」では、春の訪れを告げる「古典雛展」が開催されます。展示される享保雛は、江戸時代に舟運で栄えた最上川を通じて上方から伝わったものです。現代のおひな様とは異なる繊細で上品な表情が特徴で、当時の時代背景を想像しながら楽しめます。


また、白鷹町に伝わる伝統工芸「深山和紙」で作られたひな人形も展示されます。手作りならではの温もりが感じられ、現代とは一味違う趣が感じられるでしょう。


展示の合間には、最上川を眺めながらお食事やお買い物を楽しんでみてはいかがでしょうか。


鮎料理とひな人形、そして地域文化が一体となった体験は、きっと心に残る旅の思い出になるはずです。


開催期間:2025年2月上旬~3月下旬

開催時間:10:00~16:00

定休日:水曜日

開催場所:道の駅白鷹ヤナ公園 あゆ茶屋

入館料:無料

住所:山形県白鷹町大字下山661-1

アクセス:山形鉄道フラワー長井線 荒砥駅より車で5分

駐車場:あり

問合せ先:道の駅白鷹ヤナ公園 あゆ茶屋

TEL:0238-85-5577

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置賜地方で出会う違った表情のおひな様たち

ひな人形の起源は、古代中国の「上巳の節句」にさかのぼります。この行事は3月最初の巳の日に身を清め、厄を祓うことを目的としていました。この風習が日本に伝わり、平安時代には「人形(ひとがた)」を使った厄払いの儀式と結びつき、川に流す「流し雛」という風習が生まれました。


平安の世も江戸の世も、ひな人形には子どもを守り、幸せを願う祈りが込められています。特に、女の子の健やかな成長や幸せな結婚を願う象徴として、ひな人形は大切に受け継がれてきました。


置賜のおひな様は、それぞれが異なる文化や時代背景を反映し、親から子へと大切に受け継がれてきた貴重なものばかりです。普段はなかなか伝えられない親への感謝の気持ちや、自分の子どもへの願いを、このひな人形を通じて静かに思い巡らせてみませんか。置賜の地で、ひな人形が紡ぐ温かな歴史と祈りに触れる旅をお楽しみください。


おきたまのひなまっぷ

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