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やまがたフルーツPR隊「YFP150」vol.6(後編)本間美術館、舞娘茶屋相馬樓

山形県は、年間を通じて様々なフルーツが楽しめる「フルーツ王国」。そんな県内各地の美味しいフルーツや周辺観光スポットを、山形県内の学生たちによる「やまがたフルーツPR隊『YFP150』」(わいえふぴー いちごーまる)が取材し、その魅力を前編・後編にわたってお届けします!

第6回は、東北公益文科大学の皆さん!後編では「本間美術館」と「舞娘茶屋相馬樓」の魅力について伝えてもらいますよ★

本間美術館

私たちはやまがたフルーツPR隊『YFP150』の東北公益文科大学3年の池田知聖と山内友椰です!私たちは庄内地域を観光で元気にする学生団体「酒田おもてなし隊」に所属しており、地域での活動を通して魅力を発信し、酒田市はもちろん、庄内地域を好きになってもらえるよう活動しています。今回は本間美術館と、舞娘茶屋相馬樓を取材させていただきました。


【本間美術館】

本間美術館は、酒田の豪商・本間家による別荘「清遠閣(せいえんかく)」、池泉回遊式庭園の「鶴舞園(かくぶえん)」そして、美術展覧会場などからなり、1947年(昭和22年)に開館した日本有数の私立美術館です 。運営は公益財団法人で、「美術・文化に接することで人生が豊かになる」ことを願い、現在も展覧会や文化普及に取り組んでいます 。

現在の展示館の前身となる「清遠閣」は、本間家第4代当主・光道により、文化10年(1813年)に建築された別荘です。現在は、茶室「六明盧(ろくめいろ)」を備えた京風書院造りの2階建てですが、建築当初は平屋建てでした。しかし、明治末の1908年(明治41年)に2階部分を増築し、庄内藩主や幕府要人をもてなす迎賓館、御座所として使われました。2階の座敷からは、池泉庭園の全景を見ることができ四季折々の景色を楽しむことができます。また、内装には今では珍しい手吹きのガラス窓やシャンデリアなど大正ロマン溢れる雰囲気が漂っており、当時の細かく緻密な工夫を楽しむことができます。そして、この2階には、1925年(大正14年)には後の昭和天皇が皇太子時代に宿泊されたとのこと!



次に庭の「鶴舞園」は、庭にある池の中島に鶴が舞い降りたことから、庄内藩主の酒井忠器(さかいただたか)により名付けられたとされています。庭園内には佐渡赤玉石や伊予青石など各地の色彩豊かな庭石があります。これは、当時北前船の帰り荷として、船の安定を図るために船底に積んで運ばれてきたものです。また、造営に関しては、江戸時代の港町を支えた港湾労働者(丁持:ちょうもち)の冬季失業対策として造園に従事させ生活に苦しむ人々を救済するという目的もありました。このようにして、地域住民と本間家によって造園された「鶴舞園」は2009年にミシュラングリーンガイド・ジャポンの二つ星の評価で、「清遠閣」は一つ星の評価を得ており、美的魅力が国際的にも認められているものとなっています!なお、2012年に国名勝に指定され、2017年には、「鶴舞園」が日本遺産「北前船寄港地・船主集落」の構成文化財となっています。そのため、外国人観光客も増えつつありSNSを活用して幅広く情報を発信しています!


【企画展】

 企画展は年に7回行っていますが、その中でも1948年(昭和23年)3月から始まった「雛人形展」について、始まったきっかけとこだわりをお聞きしました。1948年(昭和23年)は、第2次世界大戦後から間もない時だったため、皆さんに見てもらって地域の方々を元気づけることを目的に開催されました。酒田には雛人形を見て回る「雛見」という風習があり、雛人形を皆さんに見てもらいたい、知ってもらいたいということで本間美術館に寄贈されたものもあるそうです。その他の展示に関しては、設定したテーマを深く知ってもらうために美術品を選んでいます。

 本間美術館には歴史的に非常に価値の高い資料が3,000点程収蔵されています。例えば、承久3年(1221年)に起こった「承久の乱」の状況を伝える北条義時の書状(「市河文書」所収)や、庄内の戦国史に関わる伊達政宗や最上義光の書状があります。さらに、南北朝時代の「三十番神像」や、江戸時代中期の長崎派画家・小原慶山の「異人形容図巻」、円山応挙の卓越した筆遣いを示す「鼬図」など歴史と芸術の両方で見応えのある作品が揃っています。また、清遠閣の和室にはピクチャーレールが残されており、これは和風建築の中で洋画を展示していた、当時としては非常に革新的な取り組みを残す痕跡です。そして、掛け軸などの展示も頻繁に入れ替えされているため、地域住民にとっては重要な文化娯楽の場だったことが伺えます。



【感想】

酒田市の豪商である本間家は、地域社会への還元を重視し、教育・福祉・文化に資金を投じました。たとえば、失業した港湾労働者の冬の仕事をつくるために別荘「清遠閣」と庭園「鶴舞園」の整備を依頼したことは、その象徴的な出来事です。これにより、労働者は生活を維持でき、同時に酒田は優れた庭園文化を得ることになりました。また、北前船による当時の交易の広がりが展示物や庭などからも感じられます。つまり、本間美術館は単に名画や庭園を眺めるだけでなく、「北前船が運んだ文化の結晶」を追体験することもできる貴重な施設であると実感できました。「鶴舞園」には、鳥海山と庭園が一つの作品のようになるため自然を活かしながらの美術との一体を再現されていることから、当時の人々の鳥海山に対する思いと自然への尊重が感じられました。このように、酒田市の人々の思いや歴史が根強く感じられる本間美術館は酒田市に訪れたら是非立ち寄っていただきたい施設です!本間美術館で、酒田市の文化と歴史を見て、触れて、心で感じてほしいと思いました。



※今回取材した「本間美術館」に関する情報は、以下の「詳細を見る」をご参照ください。

舞娘茶屋相馬樓

 北前船の経由地として有名な酒田には、実は舞娘(まいこ)さんがいるんです!そんな舞娘さんがいらっしゃる「舞娘茶屋 相馬樓(そうまろう)」さんを取材をさせていただきました。



 相馬樓とは、山形県酒田市にある江戸時代から続く酒田の花街文化を現代に伝える施設です。もとは江戸時代より続く料亭「相馬屋」を改装したもので、豪華な木造建築や趣ある座敷が残されています。館内では、酒田舞娘による舞踊やおもてなしを体験でき、往時の華やかな文化を身近に感じられます。

 展示室では、相馬樓のリニューアルをプロデュースした遊戯詩画家の泉椿魚(いずみちんぎょ)さんがこだわって手掛けた美しい空間を見ることができます。江戸から明治にかけての豪商文化や、酒田を代表する本間家の歴史も紹介されており、酒田の歴史と芸能文化を学ぶことができます。また、食事付きの観覧プランもあり、郷土料理を楽しみながら舞を鑑賞できるのも魅力です。

 相馬樓は、酒田の伝統文化を体験できる観光スポットとして国内外の旅行者に人気があり、地元の人々にとっても文化継承の拠点となっています。



【酒田舞娘について】

 この相馬樓の舞娘さんたちは地元・酒田やその近郊出身の方が多いのだとか。京都など全国から集まっているのかと思いきや、地元出身の方なんですね。今は7,8人の方が稽古を行っているそうです。酒田に芸妓文化が根付いたのは、北前船交易による繁栄が大きく影響しています。最上川と日本海を結ぶ交通の要所として栄え、物資と人の交流が盛んだった酒田には、商人や旅人をもてなす文化が発展し、その中で入ってきた京文化により、自然と舞娘の文化も入ってきたようです。年を重ねるごとに衰退していった芸妓文化も、2000年に酒田商工会議所と平田牧場の尽力によって、「酒田舞娘」が復活し、酒田の伝統文化として根付いています。舞娘の鈴華さんは、高校の授業で実際に舞娘さんの舞を見て自分もやってみたいと思ったのがきっかけで、高校3年間は毎日放課後に相馬樓に通って稽古をしていたのだそうです。

 

【建物について】

 相馬樓の庭には様々な工夫が施されています。その一つとして「全ての部屋から庭に出られる造り」になっています。建物と庭に一体感が生まれるだけでなく、どの部屋からもきれいな庭の景観を楽しむことができます。

赤い外壁はお雛壇をイメージしているんだそうです。2000年の開館当初から相馬樓はお雛壇をイメージして作られており、舞娘さんはお雛様、入口は最上のお雛壇をイメージしています。壁が赤いのは舞娘(お雛様)が映えるようにという意味で赤にしたのだそうです。


酒田舞娘の芸妓、小鈴さんは酒田舞娘を継承していくために会社を立ち上げました。稽古では、踊りや三味線などの芸事だけでなく、日常の所作・礼儀・おもてなしなどの基本的なマナーから学んでいきます。お稽古を始めてから1つ1つの所作が美しくなったとおっしゃっていました!

 お稽古は無償で行われており、浴衣や足袋などの必要な衣装も貸し出してくれるそうです。金銭的な負担を理由に諦めることがないように配慮されています。そうした環境があるからこそ、「やってみたい」と思った子どもたちが実際に挑戦できる仕組みがあるのはうれしいですね。


【感想】

 今回、取材させてもらい、地域の伝統文化とおもてなしの心を学ばせていただきました。館内は赤を基調とした華やかな空間で、酒田に伝わる雛人形文化を表現していると知り、空間全体に深い意味が込められていることを感じました。

 また、庭はどの部屋からも出入りでき、建物と一体化した造りになっていることに驚きました。

さらに、地元出身の若い女性が幼い頃から稽古を重ね、無償の支援を受けながら伝統を受け継いでいることに感銘を受けました。

 取材を通じて、相馬樓は歴史的建物であると同時に、今も生きた文化を体験できる場所だと実感しました。酒田の歴史と、それを守ろうとする人々の思いを理解できた貴重な機会でした。皆さんもこんな非日常体験を味わえる「舞娘茶屋 相馬樓」にぜひ足を運んではいかがでしょうか。



※今回取材した「舞娘茶屋相馬樓 」に関する情報は、以下の「詳細を見る」をご参照ください。

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