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やまがたフルーツPR隊「YFP150」vol.8(後編)松ヶ岡開墾場

山形県は、年間を通じて様々なフルーツが楽しめる「フルーツ王国」。そんな県内各地の美味しいフルーツや周辺観光スポットを、山形県内の学生たちによる「やまがたフルーツPR隊『YFP150』」(わいえふぴー いちごーまる)が取材し、その魅力を前編・後編にわたってお届けします!

第8回は、羽黒高校の皆さん!後編では、松ヶ岡開墾場の魅力を伝えてもらいますよ★ 


松ヶ岡開墾場

みなさんこんにちは!やまがたフルーツPR隊「YSP150」の羽黒高等学校普通科特進コース3年の佐藤心音と1年の齋藤未旺です。私たちは2025年10月18日に、鶴岡市羽黒町にある松ヶ岡開墾場を取材させていただきました。

 


1    松ヶ岡開墾場について

 今回、松ヶ岡開墾場について説明してくださった清野忠さん。清野さんはなんと、開墾に関わった庄内藩士の子孫だそうです!

  


1868年頃。明治維新で日本は大きく変わり、それまで国を治めていた武士達は特権や給料を失いました。庄内藩は戊辰戦争の降伏を決断し、藩士は庄内へ復帰。政府からの厳しい処分を覚悟していましたが、比較的軽い処分で済んだのです。その影には、西郷隆盛との関わりがありました。それを受け、旧中老の菅 実秀(すげ さねひで)は近代化に貢献するため大規模な開墾と養蚕製糸業の創業を決め、 1872年に庄内一円の支援のもと、旧庄内藩士約3,000人が「刀を鍬に」持ち替え開墾した深い歴史のある場所が松ヶ岡開墾場です。2021年(令和3年)には開墾150年を迎えました。

開墾当初は10棟の蚕室が建てられ、現在は5棟が残っています。 その1つが松ヶ岡開墾記念館とされ、歴史を知ることができる資料や当時使われていた養蚕道具などが展示されています。 また蚕室は記念館だけでなく、シルクについて体験しながら学べる「シルクミライ館」や、松ヶ岡の食を楽しむことができる「一翠苑」、 当時の蚕室の構造を見学できるスポットなどに利用され、 人気の施設となっています。

 


また、国指定史跡である松ヶ岡本陣は今から400年以上も前に建てられた開墾事業の本部で、主屋は檜造平屋建てで、寄せ棟造り茅葺き屋根といった現代ではなかなか見られない珍しい造りです。 室内の戸のひとつひとつに用心棒があり、当時の生活様式を感じることができました。

 

 

2 「サムライゆかりのシルク」の魅力

養蚕製糸業の成功は、鶴岡地域の近代化と経済発展の基礎となり、大きく貢献しました。蚕室1棟で、20万頭の蚕を育てます。1頭の蚕から1個の繭がとれます。「一反の絹織物は、1kgの生糸から 1kgの生糸は、3200個の繭から」。つまり、一反の絹織物は3200頭もの蚕の命と、受け継がれた技術でできているのです。鶴岡は、現在も養蚕から絹織物までの一貫した生産工程がそろう国内唯一の地域です。そんな鶴岡のシルク産業は2017年(平成29年)「サムライゆかりのシルク 日本近代化の原風景に出会うまち鶴岡へ」として日本遺産に認定されました。

 

 

現在松ヶ岡では、「最北端の絹産地」として明治から続く歴史と技術を活かして産業の振興を目指しています。鶴岡シルク株式会社が中心となり、独自のブランドを展開し、そのシルク製品は松ヶ岡開墾場内のショップで販売されています。実際に、シルクのスカーフを試着させていただくことができました。肌触りがツルツルしていて気持ちよく、着け心地も軽くて、思わず笑顔になってしまうほどでした。色も鮮やかで柄の種類も多いので、選ぶ楽しみも味わうことができると思います。また、鶴岡中央高校の生徒が「シルクガールズコレクション」として鶴岡のシルクを材料にドレスを製作する活動も行われています。

鶴岡のシルク産業は衰えることなく継承され、現在も発展し続け、世界へも発信されています。

 


3  感想

今回の取材では、松ヶ岡開墾場での体験を通じ、今まで知らなった鶴岡の歴史や自然の豊かさ、シルクの魅力について知ることかできました。私は松ヶ岡開墾場のことや、そこでの養蚕製糸業について詳しく知らなかったので、新しい発見の連続でした。

中でも一番印象に残ったのは、蚕室の建物の雰囲気です。 明治時代から残り続ける木造の建物。その大きさや外見は、思わず息を呑むほど美しく、また、現代の建物との造りの違いや木の色の深み、屋根の瓦などから歴史を感じ、まるで明治時代へとタイムスリップしたかのような気分を味わえました。樹齢100歳を超える桜の木や松の木など周辺の自然も豊かで、柔らかい風が吹き抜ける度に緑の匂いを感じ、心が落ち着きました。 

150年以上前、重機や機械のない時代。すべて人の手だけで土地や建物を完成させ、新しい産業を始め、鶴岡市の近代化の基礎を築き上げたという事実に圧倒されました。武士のプライドを捨て、刀を鍬に持ち替え、未来を切り拓くことは並大抵の苦労ではなかったはずです。それでも彼らは困難に立ち向かいました。その結果、生み出された建物や養蚕業の歴史が現代まで息づいていることに、私は逆境に屈しない人間の強さと、新しい一歩を踏み出すことの計り知れない価値を感じ、感銘を受けました。

 


「自然と歴史を感じながら、思いっきり遊んで、学ぶ。」 松ヶ岡開墾場はそんなキャッチコピーの通り、全身で歴史と自然を感じられる場所です。武士達の努力の結晶の地へ、皆さんもぜひ足を運んでみてください。

最後に、清野さんからいただいた松ヶ岡産の柿を持ちながら記念撮影をしました。清野さん、ありがとうございました。

 

※今回取材した「松ヶ岡開墾場」に関する情報は、以下の「詳細を見る」をご参照ください。

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