スピリチュアルな旅

山形にはたくさんの神社やお寺、さらに伝説が残る地が多くあることをご存じでしょうか。


山形県は7割もの面積が森林に囲まれ、その一部に人間が住んでいます。自然との共存や自然界のそれぞれのものに神が宿るとされるアニミズムが深く根付いた場所があります。


今回は数あるパワースポット・スピリチュアルスポットのほんの一部をご紹介します。日常の疲れやストレスから解放され、山形へのご旅行でパワーを充電しながら楽しんでいただきたいです。皆さまのそれぞれの希望や求めるご利益で選ぶもよし、心惹かれる景色で選ぶもよしのスポットが勢揃い。


山形にお越しの際には一度チェックしてみてくださいね。

生まれかわりの旅へ 出羽三山参り

出羽三山は、山形県の中央にそびえる「羽黒山」「月山」「湯殿山」の総称です。羽黒山は人々の現世利益を叶える現在の山、月山はその高く秀麗な姿から祖霊が鎮まる過去の山、湯殿山はお湯の湧き出る赤色の巨岩が新しい生命の誕生を表す未来の山と言われています。この三山を巡ることは、江戸時代に庶民の間で「生まれかわりの旅」として広がり、日本古来の山の自然と信仰の結び付きを今に伝えています。


生きながら新たな魂として生まれかわれるという巡礼は江戸時代の人々の心を豊かにしたのでしょう。現在に生きる私たちも生まれかわりの旅と聞くと心躍るのではないでしょうか。


では三山の魅力を少しお話しします。


羽黒山は開祖・蜂子皇子が現在の世を生きる人々を救う仏(聖観世音菩薩)を祀ったといわれています。出羽三山の中で最も村里に近い、人々の現世利益を叶える山です。羽黒山頂に建つ三神合祭殿は、月山、羽黒山、湯殿山の三神を祀っています。

本殿は、中世の構造を残した貴重な茅葺木造建築で、厚さ2.1mの萱葺の屋根や総漆塗の内部は迫力満点。前方にある「鏡池」は、神秘の御池として古来より多くの信仰を集めています。


月山は標高 1984m。高く秀麗な姿から太古の昔より信仰を集め、「祖霊が鎮まる山」 として過去の世を表す山と言われます。美しい高山植物が咲く山頂 までの道のりは神秘的。極楽浄土のような光景が広がります。


全てのものを生み出す山の神「大山祇命」が祭神として祀られる湯殿山は、未来の世を表す山。山中で修行を行う山伏が、生まれかわりを果たす聖地でもあります。


出羽三山参りをしながら、御朱印を頂戴するのもおすすめです。


※写真は月山神社です。

心機一転、頑張りたいと思ったときに訪れるのが吉 甲子大黒天本山

山形県米沢市、小野川温泉を一望できる高台に「甲子大黒天本山」はあります。ここは弘法大師・空海作の甲子大黒天を祭る日本唯一の本山です。


甲子大黒天とは大黒天の縁日が旧暦の甲子日であることに由来し開運福徳・商売繁栄などのご利益があります。また、甲子は60ある暦の最初であることから心機一転、頑張りたいと思ったときに参拝すると加護いただけるとされます。人生の節目に訪れたいですね。


ここで授かれる御朱印は開運招福。黄金に輝く文字で書かれた御朱印からはパワーを感じます。通常の御朱印だけではなく、期間限定の御朱印や2年かけて完成する「龍神守護」の御朱印もあります。


また写経や腕念珠(ブレスレット)を作る体験も。腕念珠は25種類の天然石から誕生石やご利益など自由に選んで自分の腕にぴったりのオリジナルを作れます。現代社会で疲れた心を癒してくれる清らかな時間を過ごせるでしょう。

西の出雲、東の若松 縁結びなら鈴立山 若松寺

山形県天童市の山奥に最上三十三観音第1番「若松観音」(天台宗 鈴立山 若松寺)があります。奈良時代の高僧・行基がこの地にたどり着いたとき、山の東方から鈴の音が聞こえてきたため山上に登ったところ、光り輝く三十三観音の御影を拝したことから開山し、後に弘法大師が一千座の護摩を奉修したと言われています。


「西の出雲、東の若松」と、出雲大社と並び称されるほど、縁結びの観音様として有名な若松寺。若松寺観音堂は国指定重要文化財。そのほか学問や芸術の女神である弁天様を祀る奥の院、子どもを抱いた地蔵様を祀る地蔵堂(子育て地蔵)、元三大師堂、鐘楼堂など歴史ある文化財が点在しています。


金楼堂近くの縁福大風鈴はいつでも鳴らすことができ、良縁や幸福の願いを込めてゆっくりと3回鳴らして、心静かに合掌をしてくださいね。良縁がやってきますよ。

若返りが叶う?! 本山慈恩寺

山形県寒河江市に鎮座する「本山慈恩寺」。聖武天皇の勅命により開山されたと言われています。檀家を持たず、「鎮護国家」「国家安寧」等の勅願寺として、摂関家藤原氏、奥州藤原氏、寒河江荘大江氏、山形城主最上氏、そして江戸府と、時の権力者より庇護され、江戸時代には幕府より2800石余の寺領を受け、東北随一の巨刹となりました。その歴史は古く、開山から1300年が経ちます。


境内には国指定重要文化財にもなっている本堂や歴史の深さを感じる三重塔がたたずんでいます。その厳かな雰囲気は訪れる人を悠久の歴史の中へ誘います。慈恩寺には200を超える貴重な文化財が残されており、「文化財の宝庫」とも。平安末期から鎌倉中期にかけて作られた仏像は訪れた人を魅了します。仏像の表情は豊かで、柔らかい表情やきりっとした凛々しい表情などさまざま。一つひとつをじっくり見ていただきたいです。


また慈恩寺は若返り祈願の寺院としても知られていますよ。本堂宮殿前に置かれている鋳鉄仏餉鉢(ちゅうてつぶっしょうばち)にお辞儀をするように頭を入れると若返り・ボケ防止に効果があるそう。何度も訪れてしまいそうですね。

三羽のうさぎを探して 東北の伊勢 熊野大社

山形県南陽市にある「熊野大社」。東北の伊勢とも呼ばれており、和歌山県の熊野三山、長野県の熊野皇大神宮とともに日本三熊野のひとつ。


参道の入口にはそびえ立つ大鳥居があり、訪れる人を歓迎します。秋には樹齢850年の大イチョウが黄金に輝き神聖な場所にさらに神秘的さが加わります。46段の石段を登りきると拝殿や本殿が鎮座。本殿裏側には「三羽のうさぎ」の彫刻があり、全て見つけると願いが叶うと言われています。授与所で二羽の居所を教えてもらえるようですが、三羽目は自分も力で見つけないとご利益がなくなってしまうのだとか。なんとしても自力で見つけて願いを成就させたいですね。


また熊野大社は全部で三十柱の神様をお祀りしています。さまざまなお願いごとを叶えてくださいますが、本殿には日本で初めて結ばれた縁結びの神様が祀られています。熊野大社が縁結びのパワースポットと言われる所以ですね。


毎年6月から9月は風鈴に願いを託す縁結び祈願祭「かなで」を開催しており、赤、青、黄など色とりどりの風鈴が飾られ、澄んだ音色が風に乗って境内に響きます。浴衣や着物で写真をとるのもおすすめです。

ご利益が凄い 生き文殊 亀岡文殊堂

山形県高畠町にある「松高山大聖寺」。知恵を司る文殊菩薩を祀り、通称「亀岡文殊」と呼ばれています。奈良県桜井市の安倍文殊院、京都府宮津市の切戸の文殊とともに、日本三文殊の一つに数えられています。1200年以上もの間、たいへんご利益のある「生き文殊様」として崇められてきました。


参道入口は、杉の木が高くそびえ立ち、両脇には金剛力士像があります。本堂に通じる石畳みの参道途中には十六羅漢像などがあり、文殊堂へは15分ほど石段を上ります。境内には老杉の大木が繁り、歴史の重みと厳かな雰囲気が漂います。


文殊堂のそばに安置された「大黒天」も、ここを訪れる参詣者の目的のひとつ。1200年前の徳一上人(亀岡文殊堂の始祖)の作とされています。この「大黒天」は、家内安全・商売繁昌の神として御利益があり、古来より「生き大黒」と呼ばれています。前に立ち手を入れ、自分の思いを念じ石を持ち上げると、望みが叶うならば軽くなり、困難ならば重くなるといわれています。ぜひ、チャレンジしてみてくださいね。


文殊堂の右後ろ側に「利根水」と呼ばれる知恵の水がわき出ています。亀岡文殊菩薩の知恵を授かるとされ、受験生に人気です。受験生はもちろんですが、人生全般の生きる知恵を授かるといわれていますので皆さんに訪れていただきたいです。

東北の江ノ島 由良海岸 白山島

山形県鶴岡市にある由良海岸は、抜群の透明度と美しい砂浜が続く海岸です。夏は海水浴場として賑わいをみせます。


そんな由良海岸にぽつんと浮かぶのは白山島。3000万年前に起こった火山性の噴火によって形成されたとされ、東北の江ノ島とも呼ばれています。高さが72メートル、周囲は436メートル程の小さな島で、由良海岸から島までは自由に往来が出来る朱色の橋が架けられています。空の蒼と橋の朱のコントラストが美しいです。


その中央に「白山神社」があります。 菊理媛命(くくりひめのみこと)を祀る室町時代から続いている貴重な神社です。菊理媛命は日本神話の中でも有名な黄泉比良坂(よもつひらさか)での伊邪那岐と伊邪那美の夫婦喧嘩を仲裁したことで知られています。別れを仲裁したことから「縁結び」のご利益があると言われています。


さて白山神社の本殿までは、たいへん急な石段が続きます。ご利益を求めて向かう際には充分にご注意ください。たどり着いた達成感とその厳かな雰囲気を感じられます。頑張って登った先でのお願いはきっと神様に届くでしょう。

山寺の奥地の裏山寺 垂水遺跡

山形県山形市にある山寺。山形の有名な観光地のひとつです。その山寺のさらに奥地にあるのが峯の浦。通称「裏山寺」と呼ばれています。


裏山寺は「千手院」「烏帽子石」「修験場」と見ごたえのあるスポットが連なります。その中でも「垂水遺跡」は神秘的。最上三十三観音の二番札所でもある千手院の裏手を15分ほどひたすら登っていくと、急に景色と空気が変わります。


凝灰岩でできた白い岩肌に、蜂の巣状に穴が開いた巨石・巨岩が複雑に入り組んでいます。そこには木製の鳥居や古峯(こぶはら)神社、稲荷神社などの小さな祠が点在し、えも言われぬ光景です。かつて山寺を開山した慈覚大師円仁もここで修業し、インスピレーションを得て東北における天台宗の布教の拠点に定めたともいわれています。実際に「円仁宿跡」という岩のくぼみも残されています。


ただ謎の部分も多い裏山寺。山形の中でもまた違う空気を感じにきてみませんか。

エメラルドグリーンの神秘 丸池様

山形県と秋田県の県境、山形県遊佐町にある「丸池様」。緑が生い茂る森へ誘われるように進むと鳥海山から流れ込む湧水が流れる牛渡川に突き当ります。牛渡川には水草の梅花藻(バイカモ)が生息しています。夏は白い可憐な花を咲かせる梅花藻。そんな梅花藻を鑑賞しつつ、木々の間を進んでいくと急にシーンとした雰囲気に。


池を守るかのように蛇行しながら伸びている木の間にエメラルドグリーンに輝く池が現れます。息をのむような美しさとはまさにこのことでしょう。何時間でも眺めていられそうです。


どうしてそんなに美しい色をしているのかは、湧水のみを源泉とし透明度が高いからのようです。透明度の高い水に太陽光が当たり、光の屈折や吸収などの条件が整うとエメラルドグリーンに輝くそう。難しい話はさておき、天気が悪いと輝きが半減してしまうので晴れた日にぜひお越しください。


また、丸池様に棲む魚たちは皆片目であるという伝説もあります。これは、前九年の役で安倍宗任(鳥海弥三郎)と戦った源氏の鎌倉権五郎景政が、宗任に左の目を弓で射られ、同輩に矢を抜いてもらい、この池で眼を洗ったところ、池が真っ赤に染まり、それ以来この池に棲む魚はみな片目になったと言われているからだそう。池の生き物を獲ってはいけない決まりなので、片目の魚を見たものはいないようですが、一度はみてみたいですね。

日本にただ一体の黒いマリア像 鶴岡カトリック教会 天主堂

山形県鶴岡市にある赤い塔屋に白い壁のコントラストが美しい木造の建物が「鶴岡カトリック教会 天主堂」です。明治36年(1903年)に建てられたロマネスク様式教会建築の傑作として国の重要文化財に指定されています。


天主堂の扉を開けると高い天井の曲面が美しい聖堂が目の前に現れます。中に入ると一気に厳かな雰囲気に。正面祭壇には「イエス・キリスト」「小さき花のテレジア」「フランシスコ・ザビエル」と迫力があります。

聖堂左側の副祭壇には「黒い聖母マリア像」。日本にある「黒いマリア像」はこの一体のみというから驚きです。世界的にも貴重なものと言われています。

マリア像の顔が黒い理由は、諸説ありますが、一説には旧約聖書のソロモン雅歌に、聖ルカによる原肖像画のマリアの顔が熟した小麦のように栗色であったとのことです。ただ謎は謎のまま。


また教会の窓のステンドグラスも目を見張ります。この天主堂の窓は、一般のステンドグラスとは異なる独自の技法でつくられ、「窓絵」と呼ばれます。こうした「窓絵」も天主堂でしか見れません。鶴岡の地で黒いマリア像や窓絵をみてから本場のヨーロッパへ旅行するのも素敵ですね。

神聖な地 山形を旅しに来てください

山形県のスピリチュアルスポットはいかがだったでしょうか。


山形県には最上・庄内・置賜の3つの三十三観音霊場があります。三十三観音信仰は、観音様が広く人々を救うために祈りに応じて33の姿を持つことに由来し、日本では、西国三十三所、坂東三十三所、秩父三十四所などが知られています。


1県に3つの霊場を持つ山形県。合わせて「出羽百観音」と呼ばれます。1県に100もの霊場があること自体がたいへん珍しいことです。


そんな神聖な地である山形にはまだまだスピリチュアルなスポットがたくさんあります。ぜひ、探索をしながらじっくり味わいに来てください。


※写真は唐松観音 唐松山護国寺です。

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