アートをめぐる旅

芸術や美術は、私たちの心に豊かさを与えてくれます。旅先では、その地域にゆかりのある芸術家やその作品が多く残されているもの。さらにゆかりの地を巡ることで、その芸術家がどんな気持ちで作品を作り、世に訴えかけたかったのかまで知るいい機会と言えるでしょう。


今回は芸術が好きな方にはたまらない山形アートの世界をご紹介します。この美術館にこんな素敵な作品があったの?と思わず立ち寄りたくなること間違いなし。


また、山形県の美術館の特徴として、自然との調和が楽しめます。外観からまさにアートな美術館・博物館たち。山形にお越しの際には一度チェックしてみてくださいね。

個性豊かなアートコレクション 山形美術館

山形駅から15分ほど歩くと三角屋根の特徴的な屋根が見えてきます。桜が美しい霞城公園や山形城跡、山形市立郷土館などの歴史的な建物の近くに佇む建物が「山形美術館」です。


リピーターが多いことでも知られる山形美術館の特徴の一つが優れたコレクションと展示。

日本や西洋美術・郷土関係美術・フランス美術の3つのジャンルが大きな柱です。フランスの近代絵画のエドガー・ドガや印象派を代表する画家のクロード・モネの作品、山形県出身の彫刻家・新海竹太郎とその甥の新海竹蔵の作品など幅広く展示しています。


新海竹太郎の代表作「ゆあみ」の先駆的な若い裸婦像は、日本人をモデルとしながらもラテン型のプロポーションを描いた和洋折衷のデザイン。西洋のアカデミズムを忠実に表現した格調高い作品です。現在2体確認されており、そのうちの1体がこの山形美術館に保存。もう1体は東京国立近代美術館で重要文化財として保存されていますよ。


独自のアートコレクションとその外観の美しさは他を引き付けて離しません。

館内の曲線と直線の絶妙なバランス美 天童市美術館

山形県天童市にあるシンプルかつスタイリッシュな外観の天童市美術館。周辺には市立図書館、市民文化会館、中央公民館があり、芸術文化エリアの一部です。スタイリッシュな外観とは裏腹に内部は曲線と直線の絶妙なバランスで構成されており、鑑賞者に圧倒的なインパクトを与えます。館内の天窓から自然光を取り込む造りにより展示品がより美しく輝いて見えます。


国内外の優れた美術作品を公開する企画展や吉野石膏コレクションをはじめとする収蔵展など年間を通して様々な展覧会を開催。また体験美術館、絵本原画展、市民作品展、天童が生んだ美術家シリーズ展なども人気。展示場や屋上には天童市出身の彫刻家、豊田豊さんの作品が展示されているほか、館内には天童市出身の日本画家、今野忠一さんの作品や洋画家、熊谷守一さんの作品が収蔵されています。


美術館内には、地元の食材を使用したカフェもあります。山形県産の米、野菜、果物などを使用したメニューは、美味しくて健康的。美術館で疲れた体を癒しながら、地元の食材を堪能できます。

庭園からの眺めもアート 酒田市美術館

「酒田市美術館」は山形県酒田市にある市立美術館です。小高い丘の上にあり、鳥海山や最上川、酒田市の市街地まで一望できる景観の良いところにあります。館内は酒田市にゆかりのある洋画家を中心に所蔵。日本洋画界の重鎮である森田茂氏、日本芸術院会員の洋画家・國領經郎氏、酒田市出身の洋画家・斎藤長三氏、彫刻家・高橋剛氏の4名の作品を中心に常設展示しています。


特別展も定期的に行われており、年数回開催。期間は1週間から1ヶ月を超えるものまで様々で、彫刻や写真など所蔵していない分野を中心に幅広い展示を行っています。特別展開催時には関連するイベントも多数開催されます。作品解説やギャラリートーク、ワークショップやコンサート、講演会など多彩なイベントが満載。展覧会の内容を実際に身体を動かして学ぶとより学びが深まりますね。


また市民ギャラリーという原則無料でアートに触れられるスペースがあります。気軽にアートに触れられるなんてフランスみたいですね。

昭和天皇のお宿にもなった 本間美術館

山形県酒田市にある、江戸時代からの豪商として知られる本間家が創始者となった「本間美術館」。本館と新館が美しい庭園「鶴舞園(かうぶえん)」を挟んで立ち並んでいます。本館は清遠閣(せいえんかく)と称され、2階建ての銅板と瓦ぶきの建物。京風の精緻な造りと大正ロマンを偲ばせるモダンな調度が心地よいです。


藩政時代は庄内藩主や幕府要人を、明治以後は皇族や政府高官、文人墨客を接待する酒田の迎賓館の役割を果たし、1925(大正14)年には昭和天皇のお宿にもなりました。


所蔵品には、本間家が大名から拝領した品、歴史資料として価値の高い文書、当主が好んだ茶道の器物など、重要文化財や重要美術品が多数。平成21年(2009年)には、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」にも掲載されています。


所蔵品を眺めた後は「清遠閣」の中の喫茶室でゆっくり。そこから庭園「鶴舞園」が一望でき、景観が時を忘れさせてくれるような時間を過ごせるでしょう。

自然・歴史・文化の総合博物館 山形県立博物館

山形県山形市の霞城公園(史跡山形城址)内にある「山形県立博物館」。山形県の自然や歴史・文化の概要を紹介する総合博物館です。


館内では、山形県の四季折々の美しい自然環境に焦点を当てた展示や歴史や伝統文化に関する展示が充実しています。標本や模型を用いて、山や川の生態系や植物相などを学んだり、遺跡から得られた発掘品を間近で見たりと大人も子どもも楽しめます。


また来館者が直接参加できる体験型プログラムやワークショップも定期的に開催。手作り工芸や伝統的な工法の実演、自然散策など知的好奇心が刺激されますよ。


明治34年(1901年)に建築された「旧山形師範学校本館」が博物館の分館「教育資料館」です。教育に特化したユニークな展示が特徴。

旧山形師範学校本館は国指定重要文化財でもあり、そのレトロな外観をみるだけでもタイムスリップしたような気分になりますよ。


※写真は教育資料館です。

上杉家ゆかりの数々の品がある伝国の杜 米沢市上杉博物館

米沢城本丸跡地の松が岬公園に隣接された「伝国の杜 米沢市上杉博物館」。武家として栄えた上杉家ゆかりの貴重な品々を所蔵しています。


上杉謙信は戦国武将の中でも3本の指に入る程の人気を誇っていますよね。その上杉謙信の生涯や戦国時代の様相、また米沢藩の発展や歴代の藩主たちの足跡が紹介され、歴史的な興奮を感じられます。また「成せばなる 成さねばならぬ 何事も」の名言を残した九代目米沢藩主・上杉鷹山の功績を振り返る展示もあります。当時の生活様式や藩政における政策、藩士たちの暮らしぶりが垣間見られます。


おすすめは、国宝「上杉本洛中洛外図屏風」。京の都の日常風景を描いたこの屏風は、織田信長から上杉謙信へ送られたものと伝えられています。約2,500人もの人物が身分を問わず描かれ、さらには動物や植物、名所や祭りなど当時の京都の様子が目に浮かぶよう。普段はレプリカの展示ですが、特別展が開催される春と秋に期間限定で原本が展示されますよ。


そのほか上杉謙信や鷹山、直江兼続のオリジナルグッズを販売するミュージアムショップがあります。ここでしか入手できない品もあり、武将好きにはたまらないスポット。


隣接する松が岬公園には、上杉謙信を祀る上杉神社や上杉鷹山の銅像など上杉家ゆかりの碑も多数あります。公園散策もおすすめです。

世界に羽ばたく水彩画の巨匠 内藤秀因水彩画記念館

山形県庄内町に町出身者で町名誉町民であり、元日本水彩画会理事長の画家・内藤秀因(1890年-1987年)の水彩画を展示している「庄内町内藤秀因水彩画記念館」。ここには秀因の水彩画約2,000点を収蔵・展示されています。秀因の画風は写実主義を基調としており、重厚な迫力が魅力です。


36歳のとき渡欧してアマン・ジャンらに師事し、若手画家の登竜門であるサロン・ドートンヌに入選した秀因は、帰国後日本水彩画壇の発展に尽力し、晩年まで日本各地に出かけながら、精力的に制作や後進の指導に取り組みました。


記念館には町立図書館も併設され、ゆったりと過ごせる憩いの場です。


2024年3月時点では内部改修中です。2024年5月に記念館及び町立図書館がオープン予定ですので、お越しの際は公式サイトをお確かめください。

松尾芭蕉を知るには欠かせない 山寺芭蕉記念館

山形県で有名なお寺といえば「山寺」(宝珠山立石寺)を思い浮かべるでしょう。


その山寺を一望できる高台に、芭蕉が「奥の細道」の旅で山寺を訪れてから300年の節目を迎えることを記念し建てられたのが、「山寺芭蕉記念館」です。

館内は芭蕉の足跡や俳句に焦点を当てた当時の様子や風景を伝える展示で、芭蕉の歩みを追体験することで、俳句がどのような環境で生まれたのかを理解できます。また、俳句の背後にある思考や感情、芭蕉が感じた風景や出来事を通して、俳句の美しさや深さに触れる良い機会となるでしょう。


記念館裏手の見晴らし台からは、奇岩・怪石群の中に立石寺がたたずむ絶景を見渡せます。春は桜、夏は真っ盛りの緑、秋は紅葉、冬は水墨画を彷彿とされる雪景色の山寺を望めば、一句できるかもしれません。

日本のアンデルセン 浜田広介の記念館

「まほろば・童話の里浜田広介記念館」は、浜田広介の業績を広く永く伝えたいと平成元年に故郷山形県高畠町に開館しました。


浜田広介は日本の児童文学の先駆け的存在で、作家人生50余年の間に、約1000編もの童話や童謡を世に送り出しました。「日本のアンデルセン」とも呼ばれています。代表作品は「泣いた赤おに」「りゅうの目のなみだ」「よぶこどり」「むくどりの夢」など多数。どれも有名な作品ですが、「泣いた赤おに」は子どものころに一度は読んだことがあるでしょう。


さて記念館の外観は、屋根が切妻造りの雁行形で、昔ながらの民家風。その館内は、木材を使った内装で、おちついた雰囲気。広介の遺品や生原稿などが展示されています。童話ルームでクリーンで上映される「ないた赤おに」を観たり、読書ルーム、喫茶コーナーでくつろいだりできます。子どもたちはもちろん、大人の方にも楽しんでいただける施設です。


敷地内の庭には、「りゅうの目のなみだ」の池や「泣いた赤おに」に登場する赤おにや青おにの石像、「むくどりの夢」の碑、また、童話に出てくる木々など、ひろすけ童話をモチーフにしたものが数多くあります。ぜひ広介の世界に触れてみてください。

日本で最初の写真美術館 土門拳記念館

土門拳記念館は、日本の写真家であり、特に戦前の日本の風俗や風景を捉えた写真で知られる土門拳(1895年-1971年)に敬意を表するために設立された施設です。


土門拳は、「自分の全作品を郷里酒田市に贈りたい」と語り、それに酒田市が応え、記念館は完成しました。記念館の建設にあたり、土門拳と深い親交のあった芸術家たちが集結。平成21年(2009年)には「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で二つ星として掲載されました。


その自然との調和のとれた外観はさることながら、館内では約13万5千点もの作品を収蔵。土門のライフワークであった「古寺巡礼」をはじめ、「室生寺」「ヒロシマ」「筑豊のこどもたち」「文楽」「風貌」などの作品を、その保存をはかりながら順次公開しています。土門拳の作品だけでなく、彼の写真活動の歩みが垣間見えます。写真は当時の風景や人々の生活を捉え、歴史的な視点からも貴重な作品と言えるでしょう。


写真が好きな方はもちろん、スマートフォンで簡単に写真をとれる現代だからこそ心に響く作品たちが待っていますよ。

将棋の街のシンボル 天童市将棋資料館

将棋駒の生産量日本一を誇る将棋のまち天童市。

そのシンボルが「天童市将棋資料館」です。館内では将棋の歴史や発展に焦点を当てた展示が行われています。将棋の起源や日本独自の将棋文化の発展過程、歴代の名人たちの活躍などが展示され、将棋の魅力を追体験できますよ。


また著名な将棋棋士たちに関する資料や記念品も展示されています。将棋ファンにとっては感動的な場所であることはもちろん、将棋の初心者や学習者向けに、資料館では将棋の指し手や戦術に関する解説もあります。


将棋の基礎から上級の戦術まで、わかりやすい展示や解説が用意されており、楽しく将棋を学べますよ。将棋ファンの方も初めて将棋に触れる方にもおすすめ。天童市自体が将棋で彩られているので街歩きも楽しいですよ。


※写真は天童温泉です。街の至るところに将棋駒が散りばめられています。

歴史と文化に浸る 上山城郷土資料館

山形県上山市にある上山城(月岡城)。一度、幕府に取り壊され、資料館として甦りました。最上氏の最南端の城塞として米沢藩の伊達氏や上杉氏との攻防の舞台となった歴史があります。


1982年(昭和57年)に二の丸跡に3層の模擬天守閣が建立され、290年ぶりにその姿を表しました。その外観が私たち訪れたものを魅了します。古き良き時代の雰囲気に浸りながら歴史的な建物の中で展示された資料や展示物を楽しめます。


また博物館体験を豊かにするための体験型展示やイベントを定期的に開催。ワークショップやデモンストレーション、特別なイベントなど、訪れた人々が参加できます。体験を通して教養や伝統を学べる良い機会になるでしょう。


上山城資料館の周囲には、月岡公園・月岡神社・足湯などがあり、散策も楽しめます。春の桜の季節は圧巻です。

ゆったりとときを感じて心の肥やしに

想像以上に美術館や博物館があると思ったのではないでしょうか。


山形県は緑に囲まれた土地でもあり、マイナスイオンを感じながら、芸術に触れる贅沢なひとときを過ごせます。「芸術とは何か」そんな深いことは考えなくてもよいのです。目で観て心で感じて、さらにはワークショップなどをとおして芸術を体験してみてくださいね。


大きな美術館では鑑賞がメインになりますよね?ですが、山形県の美術館ではワークショップをしたり、庭を眺めて楽しんだりといろいろな楽しみ方ができますよ。大人の一人旅やデート・お子さまとのご旅行などアートはさまざまな場面で最適な場所と言えるでしょう。


作品との素敵な出会いがあなたを待っているかもしれません。


そのほかにも山形県には超王道から個性派までたくさんのアートがあります。詳しくは「山形の美術館・博物館めぐり」をご覧ください。


※写真は土門拳記念館です。

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